
「まあくんの魔法」をみる
【解説】
これは小林さん(10年卒)が3年の時、ホームプロジェクトで作った絵本だ。
彼女は在学中、図書館へ毎日通って来た。1人で黙々と本を読んでいた。私が帰ろうとすると「待ってください」と隅っこから叫ぶ声が・・・。彼女を閉じ込めそうになったことが何度もある。
平成8年に卒業した森広美さんが、図書館へ遊びに来た。小林さんと面識はないが、その原稿をもとに紙芝居用の絵を描いてほしいと頼んだら、快く引き受けてくれた。きれいな色使いで、親しみ易いその絵は、仕事の合間に、何度も何度も書き直したに違いない。依頼してから7ヶ月という月日が流れていた。
それから1年経った今年、この紙芝居が更に一歩踏み出した。点字ではどうだろうか。目の不自由な人(親)が読んで、絵を見て感じたこと(子)を言葉で表す点字紙芝居。課題研究、点字グループの熱心な13人によって点字版『まあくんの魔法』の紙芝居が完成した。この紙芝居に触って話している親子の姿を、想像してみた。 精研高校、図書館、生徒、先生、時と場を越えて、新たなる伝統の継承。私は点字紙芝居の共同制作の中に、精研高校の新しい伝統の息吹を感じた。
とかく日常の中に埋もれてしまい、鈍麻になりがちな感性だが、私は生徒たちの素晴らしさに幾度も目を見張らされた。
(精研高校 司書室より)