学校行事Hana・花 networkFrom 家政科精研新聞ミネルヴァの梟|同窓会新聞

「ミネルヴァの梟」タイトルについて

高橋健司・林 完次(光琳社出版)の写真集『ひねもす』(一日、終日、朝から晩までの意味)の中に「夕暮れ」のページがある。

夕暮れというと、茜色や黄色のイメージが強いのですが、ほんの一瞬だけ辺りがすみれ色に近い青に染まるときがあるのを、お気づきでしょうか。(文中抜粋)

本校図書館のカーテンの色にも似ている薄紫の空を。私はこの空を実際に見たときの感動が、今でも忘れられない。

2000年問題が実際どのようになるのかと急に不安になり、テレビのスイッチを入れた。カウントダウンを眺めていたら、世紀末という言葉と重なって「ミネルヴァの梟(ふくろう)」が浮かんで来た。

1821年『法の哲学』ヘーゲルは「ミネルヴァの梟は暮れ染める黄昏を待って飛び立つ」と名文句を残している。ミネルヴァはローマ神話で「技術・職人の女神」ギリシャ神話の「アテナ」とみなされ、『学問・知恵の神』のことである。この名文句は、次のようにも解釈できる。

20世紀がまさに終わりを告げようとしている。20世紀という現実は、今さまざまな言葉で語られている。戦争の時代、科学の時代、情報化社会、不安の時代・・・と。しかし、黄昏を飛ぶ梟は同時に、21世紀をも指し示す。21世紀がどのようなものとして描くことができるのか。

その知恵は私たち日々の暮らしの中から始まる。それらは、自分自身を描いてみること。夢を描くことであろう。今という時点は過去によって決定されるのではなく、将来、自分はこうありたいと願い、それに応じようとする姿勢によって、築き上げられる。世紀末を飛ぶ梟は、次の世紀を語る『知恵』だ。2000年1月、気持ちを新たに、少し気取って、ちょっと理屈っぽくこんなことを考えてみた。

そして、これからの精研高校を語り、生徒の声や姿から前向きなメッセージを受け止めるものに、この「図書館だより」がなればと思う。そういう思いを込めて『ミネルヴァの梟』と今月号から名前を持つことにした。結果的には皆さんのあとをバタバタと追いかける梟になるかもしれないけれど。

2000年1月 精研高校 司書

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